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【新・味いちもんめ】の舞台裏
第39回 今日も食べては書いてます! …Vol.36 茄子
今回登場する民田(みんでん)ナス。「めずらしや山をいで羽の初茄子」という『おくの細道』に収められた松尾芭蕉の句は、このナスを詠んだものだそうです。「月日は百代の過客にして」(『おくの細道』冒頭の一文より)…来ては去り、去っては来る年月によって変わるぬか漬けの微妙な風味を求め、福田氏の“道”も続きます!
文/福田幸江(『味いちもんめ〜独立編』シナリオ執筆者)
土瓶蒸し1
土瓶蒸し2

松茸の土瓶蒸し。出会いものの鱧入り。何度も食べている定番料理なのに飽きないのは、この味がDNAに組み込まれているのかも!?

ヒレカツ

ぬか漬けも美味しいけれどメインのとんかつはさらに美味い。これはヒレカツ。自分的にとんかつは酒のつまみで、シメのご飯は漬物とトン汁でいただきます。

カツカレー

とんかつも食べたし、カツカレーも捨てがたい。なので、いつも一緒に行った人に無理やりススメ、一口いただくといった作戦を展開。

民田ナス

右が関東周辺で主流の大量生産系、長卵型ナス。左が小丸型の民田ナス。ナスは地域性の強い野菜で品種が多い。京都では丸型の賀茂ナス、新潟では巾着型の魚沼巾着、九州では大長型の博多長、久留米長などが有名。

ぬか漬け

家族からぬか風味の塩漬けと称された漬物。冷蔵後でぬか床を管理すると、色がきれいに漬かるそう。でも、ぬか風味じゃ…ねぇ。

ナスぬか漬け

民田ナスのぬか漬け。所々薄紫色や白っぽい色に変色して、なんだか汚いなぁ。焼きミョウバンと塩の量、それをこすりつける強度や時間など、いろいろ変えてみなくては…。

 夜はちょっぴり過ごしやすくなったけれど、日中は日差しが強い8月下旬。まだまだ夏だな〜と思っていたら、先日行った料理屋さんでは、秋の味覚の松茸がもう献立てに!
 和食の世界では食材の初物を「はしり」、最盛期を「旬」、シーズン終了間近を「名残」と言います。
「女房質に入れても…」の初鰹に代表されるように、日本人は昔から初物が大好き。この時期に国産物はあるわけないので、たぶん中国産であろうとは思いつつ、ここは顰(ひそ み)に倣い、松茸の土瓶蒸しをば食べたのでした。
 こんな季節に「はしり」の松茸を食べられるとはなんとも贅沢と思うのですが、逆に献立を考え、作る板前さんは大変だろうな〜と。
 輸入や輸送経路の発達で、本来の季節なら手に入らなかった食材がほぼ一年を通して手に入るのですから…。どんな季節であろうと初物の食材を目にすれば「使わずばなるまい」 となるのは必然。かと言って暑い夏に秋や冬の食材をどう提供するのか、料理法も考えなければいけません。
 でもそこは食材の王様(?)松茸は安心。
無理に季節感を演出した料理でなくとも、一番美味しくいただける定番の料理法で十分!と思うのは私だけでしょうか?
 
一足早く秋の味覚を楽しんだわけですが、スーパーをのぞくと野菜売り場はまだ夏野菜でいっぱい! この時期はもう露地物が出回ってまさに「旬」状態。お値段もお安くなっ てまさに買い時です。がっちり買いましょう!
とカゴを手にしたとき、ふと目に入ったのが「民田」という名がついた小丸型のナス。
 これは山形県鶴岡市の民田地区で栽培されている漬物用のナスなんだとか。漬物といえば我が家には今夏挑戦したぬか床(第36回参照)があります。  しかし、これが試行錯誤の悪戦苦闘で、なかなか思い通りになってくれません。暑いとぬか床の乳酸菌が発酵し続け、かなり酸っぱくなってしまうと聞いたため、冷蔵庫で管理 したのがいけなかったよう。キュウリやカブを漬けてはみたものの、ぬか風味の塩漬けといった漬け上がり。ナスなんてぬか床で茶色く変色するだけです。色出しに釘を入れたら 渋苦い味になっちゃうし…。「ナスを色よく美味しく漬けられたら一人前」というほど、本当にぬか漬けのナスは難しい!
 で、民田ナスを見て闘志がメラメラ。カゴにナスを入れ、色よく漬かるという横に置かれた焼きミョウバンとともにお買い上げ。
 ここでハタと考えた私。これはプロに聞いてみようと! そしてその晩、美味しいぬか漬けを出すとんかつ専門店へ!! 女将さんに伺うと、冷蔵庫だと乳酸菌が休眠してしまう ため漬かりが悪いとか。また、ナスは色が出るので別に漬けるのだそう。でも、夏は手入れが大変で、日に何度もかき混ぜなければダメと…。
 なるほど〜! 冷蔵庫に入れると2日に1回かき混ぜればいいからラクチン、なんて思っていた私が悪かった! 家に帰りすぐさま行動開始! ぬか床を冷蔵庫から出して一晩 放置。室温に戻したところで、焼きミョウバンと塩をすり込んだ民田ナスを別容器に投入。
あとは半日待てば…!?
 ……乳酸菌の力で漬かった、という手応えはあるものの色悪っ!! う〜んまだまだ研究の余地ありありです。

 そういえばとんかつ専門店の女将さんが微笑みながらおっしゃってたっけ…。「いつ食べても変わらない味で、本当に美味しいですよね、ここのぬか漬けっ!」と言った私に、 「美味しくないとダメでしょ。だってお金をいただく物ですからね」と。余暇に実験してるような私とはぬか床に対する心持ちが違うのです。商売物なんですから。
 あ、自分も何がしか書いてお金をいただているんだっけ! 書いたものには責任を持ち、より良いものが書けるよう日々研鑽しなければ! ですよね…。
「面白くないとダメでしょ。これでお金をいただいてるんですから」なんて言えるように!
 でもナスのぬか漬け同様いつそうなるやら…。